失われし食と日本人の尊厳

イル・プルー シュールセーヌ、というところで食べたケーキ屋フランス菓子が妙に美味しく、

いつまでたっても忘れられない。

ここ2年以上は食べていないのに、忘れられない。

イル・プルーでお菓子を食べたら、他の店のお菓子が食べられなくなる、とさえ言う人もいる。

そんなイル・プルー シュル ラ セーヌの 弓田亨さんの本を見つけて読んだ。

なぜか、日本の食について語っている。

 

なにゆえ、フランス菓子の職人さんが、和食について語るのだろうか、そして、イル・プルーのお菓子を作る代表者ということもあって、以前から気になる人だった。

この本、読み進めて行くと、他者批判、また、独特の言い回しで、正直、途中で気分が悪くなり、

読むのをやめてしまいたくなるった。

マクロビや、NHKの有名な料理の講師も遠慮なく否定している。

例えば、NHKの料理といえば、土井勝さん。

独特の甘い口調が好きだったが、

否定しているのは料理方法。

例えば、

アクをとったり、里芋のぬめりをとりる、などは全く不要な作業であると言い切っている。

野菜の本来の栄養素が大幅に落ち、本来体に入ってくる貴重な栄養素がとれない。

普通、こうった他者批判であっても、弓田亨さんの場合、実体験や実際に生まれ育った福島の母の味、料理をも思い出して説明している。

フランスの果物や野菜が日本のものよりも、ずっと味わいがあって美味しい、と言っているのも正直納得した。

というのも、

 

もし、フランスで生活したことのある人ならわかるかもしれないが、

オレンジ、バナナ、メロン、などの果物を始め、人参やアンディーブなどの野菜は、

大半がとても味わい深い。 日本の野菜や果物、仮に無農薬や自然農法であったとしても、

なにか薄っぺらいように思うことすらあったからだ。

 

半分近くはなにか深いな感じもあったが、読みすすめるにつれて、

 

あれ、この人の言っていること、実は正しいのじゃないかな、

なるほどー、って思うことが度々あった。

例えば、普通、煮干しで出しを取る場合、頭と腸をとる。 これは、一般的には雑味がでるからだ。

 

和食の世界では、ごく普通のことだけど、個人的には正直疑問だった。

煮干しの頭をとったりするのは、手間だし、なにかもったいない気持ちがあった。

忙しい時やゆっくりしたいときは、極力作業は減らしたいところだ。

別に取らなくてもいいんじゃないか、煮干しも取らずにそのまま味噌汁と一緒に食べていた。

 

普通に邪魔くさいだけだったし。

でも、弓田亨さんによれば、子供の頃、味噌汁に入った煮干しを残すと怒られたそうだ。

もちろん、煮干しの頭などはとられていない。

煮干しが元気の源とさえ、思われていたらしい。

 

要は、不要な手間は省け、アクをとるな、ということ。

日本の甘いパン、舌にのこる食パンやサンドイッチなどもおかしい、と否定。

否定が多いけど、生徒さんや自身の体験から感じた、ルネッサンスご飯の話もとても興味深かった。

独特の言い回しや他者批判こそあれ、

読み終わって思ったのは、ご自身の体験を、自分で文字にしたことが伝わる本だった。

ライターに頼んだような本ではない。

 

自分で文字を起こし、書いた本。

こういった本じゃないと、伝えたい気持ちが弱いか伝わらない、って思っていたから。

自分の思いをそのままぶつけた本だと思う。

マクロビ、粗食、健康食など多くを学んできたが、

正直、納得しがたいこともあったし、私自身が、健康になれたきがしない。

 

マクロビをやっている人が健康に見えたこともない。

健康食の本は多いけど、

もしイル・プルーのお菓子をたべて何か感じた、

食べ物や食に関すること、健康に興味があるなら、

一度読んで見ることを強くおすすめする。

 

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